„Wer fremde Sprachen nicht kennt, weiß nichts von seiner eigenen.&ldquo
--- Johann Wolfgang von Göthe, Maximen und Reflexionen
個人的な経験から、どうしたらもっと英語をうまく使えるようになるかを考えて書いた、 私の研究室の学生向けのメモです。 一般に通用するかどうかは知らないし、正しさや有効性も保証しません。 私を個人として知らない人は、このメモの内容は信じない方がいいです。
自分の本を読んでいるときには、 本にマークをつけるために四色ボールペンを使う。 (ボールペンは和製英語。英語では ball-point pen。) 気分的に本に書き込みができない人は、 それだけで勉強に関しては不利な位置にいる。 ちなみに四色ボールペンは私の必須アイテム。 300円ぐらいで買える四色ボールペンのグリップの太さが、 グリップの太さを売りにして1500円ぐらいで売っているボールペンと ほぼ同じだと知ってる人はあまりいないかな。
読書時の四色ボールペンの使い方は齋藤孝:「読書力」に書いてある。 四色ボールペンは普通に使うと黒、赤、青、緑の順になくなるが、 読書力方式+以下でちょっと説明するマークで使うと、 かなりまんべんなく減るようになる。
私は緑でその単語に小さな丸を軽くつける。 複数の語から成るいい回しの場合には軽く下線を引く。
次に、その単語の意味を英英辞典で調べる。 意味の説明の中に知らない言葉があったら、それも調べる。 ただし、それをずっと英英辞典でやっているとなかなか終わらないので、 「読んでる文章中の語を調べるときには英英で調べ、 英英辞典の中にあるわからない語を調べるときには 英和(たとえば ALC の英和・和英など)で調べる」など、 どこで日本語に頼るかをだいたい決めておく。
重要なことは、その語が日本語で何に対応するかを覚えるのではなく、 どんな語とくっついてどういう意味になるのかをなんとなく感じること。 「英語の意味を日本語で表現したもの」を覚えてはいけない。 たとえば文章中に commensurate change of the program とあったとすると、 commensurate を英和で引いて「釣り合った、釣り合いのとれた、同じ大きさの、 同一基準の、同量の、比例した、相応の」という訳を覚えるのでなくて、 英英の例文にある a salary commensurate with my performance が どういう感じなのか、また自分が読んでる文章にある commensurate change of the program が 何を意味するのかを知る方が、自分の英語の世界を作るのにずっと役に立つ。
類語があるときには、類語との関係、ニュアンスの違いを調べる。 これは語彙を増やすのに直接的に役立つだけでなく、 その語が自分の英語の世界でどの位置にあるかを知る助けになる。 たとえば obviate という新しい語に出会ったとき、 英和を引くだけだと「未然に防ぐ」という訳を知るだけになるが、 その類語である prevent や preclude を知ることで、 obviate がすでに知っている語 prevent に近いこと、 さらに新しい語 preclude もその仲間であることを知ることができる。 Bartleby の英英辞典には重要な類語が載っている。 類語辞典(Roget's Thesaurus など)だと類語の範囲が広がりすぎるので あまりおすすめしない。
それから、反対語も確認しておく。
急いでいる場合には上に挙げたようなこと全部はできないから、 その場合には紙をつねに持ち歩いておいて、 わからない語とその回りのフレーズをメモしておく。 (メモするは和製英語。note down.) あとで時間を作って(夜寝る前とか)ゆっくり調べるといい。
最近、ネイティブスピーカーの先生を導入して 学生に生の英語を聞かせ喋らせてみるという英語の授業が流行りはじめているように思う。 しかし、そのような授業を受けている学生から話を聞くと、 どうもこの手の授業には決定的なことが欠けているように思える。 ちょっと長くなるが、それをちょっと説明しよう。
あなたに日本人が話しかけるとする。 この日本人が、かりに「くるま」と言ったら、あなたは聞こえるだろうか。 もちろん聞こえる。く、る、ま、と言ったんだから聞こえるのはあたりまえだ。 では、あなたにアメリカ人が話しかけるとする。 このアメリカ人が、もしひとこと「wrath」と言ったら、あなたは聞こえるだろうか? (こんな単語を言うわけないが、まあたとえばの話。) 聞こえないかも知れない。なぜ?
それはあなたが wrath という語を知らないせいではない。 もし日本人が「ほめがぺ」と言ったら、あなたはちゃんと聞こえるはずだ。 wrath が聞こえないとしたら、それはあなたが英語の3つの音「r」「ae」「θ」が どんな音か知らないせいである。 個々の音がどんな音か知らなければ、 いくらネイティブの先生が発音したって聞きとれるはずがない。
当然、同じことは自分が発音するときにも言える。 正しい音を知らないのにどうやって発音できる?
というわけで長くなったが、以下ポイント。
英語を構成する音を知らなければ英語は聞こえないし話せない。 まずはすべての正しい音素を聞き分けられるようになろう。 英語の音素の一覧は辞書に載っている。 それをそれぞれ正しく発音できる人に発音してもらおう。
国や地域によって各音素の発音は違う。 選べるなら、できれば(世界中にある英語のなかで)中間的な発音を覚えるのがいい。 そうすれば自分が覚えた発音以外のところの発音も聞きとりやすくなる。 実用的にはアメリカにおける中間的な発音がいいだろう(東海岸、あるいは西海岸)。 またはイングランドか。
世の中では、子供の頃に接した音のバリエーションしか認識できないなどと言われているが、 私は信じていない。私は子供の頃に英語に接してなかったはずだが、 今では sink と think、right と light を聞き分けられる。
音素の次は語彙だ。 語彙には単語やフレーズが含まれる。 (以下、簡単のためにまとめて「語」と言うことにする。) 音が聞こえてもその語を知らないと意味は当然わからない。 また、語を知らないと、語の切れ目がわからないので、 知らない語からあとを聞きとれなかったりする。
というわけで、あるレベルの会話をするためには、 その会話を成り立たせるのに必要な語彙が必要だということだ。 英語を読んでいるときに語彙を養うやりかたは 「英語の文章を読んでいるとき」に書いた。 会話しているときに語彙を増やす方法もある。 わからない言葉が出てきたら相手に聞いて、説明してもらう。 聞き返すのと説明を聞くのが結構きついが、 その体験がその語を忘れにくくする。
相手が何を言ったかわからなかったときの聞き返しかたにはコツがある。 相手が「Yesterday he ate ぶらぶら」(「ぶらぶら」は聞こえなかったところ)と言ったら、 ただ単に「Pardon me?」とか「Sorry?」で聞き返すのではなく、 「Yesterday he ate what?」と、聞こえなかったところに what を入れて、 相手の言ったことを繰り返す。 そうするとどこがわからなかったか相手に伝わるので、 そこを丁寧に言ってくれたり言い替えてくれたりする。
聞き返すときに、それなりに意味を通じさせるようにしよう。 たとえば「I ぶらぶら」と動詞が聞こえなかったときには、 「I what?」だと自分のことになってしまうので、「You what?」と聞く。 「I went to ぶらぶら」なら「You went where?」と聞く。 つまり、相手の言葉をコピーするのではなく、相手の「言ったこと」を繰り返す。 You と I の変換、とか思わなくても、 普通の会話に慣れればこのへんは自然にできるので心配しなくていい。 「You went to what?」でも通じるし。
このへんの練習法は確立されている。 その中で特に有効だと私が思うのは shadowing という手法だ。 これは、ネイティブスピーカーが(CD やラジオや講演などで)何かを話しているときに、 その後について同じ音を口から出すやりかたである。 Repeating は相手が文を話し終わったあとで自分がその文を繰り返す。 この方法の難点は、文を記憶するという作業 --- これは発音に関して本質的でない --- が入ること。 おかげで目的である発音がおろそかになりがちだし、記憶できなければそもそも発音できない。
Shadowing は、以下のようにやる。
話者:What I'm going to present today is the recent development of ... 自分: ほわっとあいむごーいんぐぷれずんとでいすざりいすでぃべろぷめんとぶ
相手の言ったことをちょっと遅れて追っかける。正確じゃなくていい。遅れたら端折る。 どんどん口に出すことが大事。なんという語かなどは気にしなくていい。とにかく音をできるだけまねる。 Shadowing は repeating と違って記憶力がいらない。 耳から聞こえたものをそのまま口から出すだけである。 正解が必要ないので、テキストとかいろんな教材とかいらないので便利。 もっとも、ぶつぶつ言ってる怪しいやつと思われる危険はあるが。
そのうちおすすめの辞書なども紹介しましょう。
$Date: 2004/02/23 06:01:42 $